11月10日、11日と2日間に渡り、柔道整復研修試験財団が開催した研修に参加してきました野村です。
10日(土曜)にご来院予定だった方には大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。
16時間の研修の中で、災害時に柔道整復師はどう動くのか。その役割とは。という議題がありました。
地震はもちろん、最近では集中豪雨、台風などの被害も大きなものとなっています。
東日本大震災の際、多くの柔道整復師が活躍しました。充分な設備がない中、骨折や脱臼などの怪我に対し板切れや身近にある用具を使って固定をしたり、避難所や車の中で動かずにいて、体が硬くなっていた方々に対し、マッサージをしたり、ストレッチをしたり、機能回復を図りました。
しかし、7年が過ぎても長い避難生活の中で運動機能低下やそれに伴う閉じこもり、うつといった生活不活発症が現在、大きな問題になっています。ここでも活躍できるのは柔道整復師ではないでしょうか。
初期医療体制の遅れがなければ多くの「避けられた災害死」がありました。
東日本大震災の時は主に津波による被害が甚大でした。阪神淡路大震災の時は建物の倒壊による窒息、圧死が8割近くにのぼりました。その中でクラッシュシンドローム(挫滅症候群)という症候があることをご存知でしょうか。
長時間にわたり手足や臀部を圧迫され続け、その後解放されることで起こる病態です。圧迫された部位や時間などによっては、圧迫の解除後、急性腎不全やショックを起こし、死に至ることもあります。
2時間以上にわたり圧迫され続けることで発症すると考えられており、地震や戦争など、特殊な状況下で発生することが多いといわれています。ただし、1時間以内の圧迫で圧挫症候群を発症した例もあります。日本では阪神淡路大震災の際に多発したことで知られています。福知山線の脱線事故でも発症しました。
治療方法は多岐にわたります。まず 現場においては 血液中の毒素をうすめる為「水分補給や乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液」を点滴します。しかし それは応急処置であり、最終的には輸液を行なったり、血液透析・血漿(けっしょう)交換など『人工透析(じんこうとうせき)』が必要です。さらに 投薬もおこないますし、高カリウム血症になっていれば、これを解消する薬も使用。壊死を起こした筋肉の 徹底した切除もします。壊死した筋肉の切除を行なっても 敗血症を防止できない時。また 治療しても 高カリウム血症や代謝性アシドーシスが改善しなければ、救命のため、圧迫された手足切断が必要になることもあります。
首都直下地震は起きると言われています。自分や、家族を守ることはもちろんですがどんなことができるでしょうか。
いつどんなタイミングで来るかはわかりません。その時のために物資はもちろん、「知識」の備えが必要です。
上記したようにクラッシュ症候群の知識も一つの備えになると思います。首都近郊はきっとがれきの下敷きになる方が多いことでしょう。発症する前に直ちに救出する、症状が疑わしい場合は早期に病院へ搬送する必要があります。
平成26年に災害派遣柔道整復チームが発足しました。緊急事態発生時に医療チームと連携して活動します。
こういったチームの結成や、ひとりひとりが技術、知識を深めていくことがとても大切だと感じました。